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為替を知る!ユーロ暴落の背景にあるもの
cms.tatsujin05 (2012年8月 4日 13:31)
今回はFX投資家を最も悩ませている円高(円買い)の背景を特集します。現在の円高の犯人はもちろんユーロ圏の金融・財政政策です。

 

昨年12月と今年2月、ECB(欧州中央銀行)は、総額1兆ユーロ(100兆円)ものお金を無条件で即時に不足する銀行に貸し付けをすると表明しました。このバズーカ砲のようなインパクトにより、金融システム不安が後退、今年前半は世界の株価も上昇し、ユーロも買い戻され、債務危機は乗り越えられたかに見えました。

ところがユーロは再び下落開始。100兆円もの規模のお金はいったいどうなってしまったのでしょう。ECBはこの資金が下落が止まらぬPIIGS諸国(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシヤ、スペイン)の国債に回されることで、PIIGS債下落による金融機関の破綻リスクを食い止めようと目論んだのです。

 

>ユーロの特徴に関して

 

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実際に、供給直後はPIIGS債の下落は止まり、LTRO(3年物供給オぺ)が危機を食い止めたかに見えたのですが、一時的なものでした。要するに、PIIGS債の下落対策に1兆ユーロでは足りなかったということになります。 LTROによる資金が切れると、PIIGS債は再び下落を開始します。金融機関は、資金を運用し、借入金の金利以上の利益を生まねばなりません。

 

下落する資産を保有し続ければ、銀行が損失を被るのですから、銀行はこれを慌てて売りますよね。そして、利きやが稼げる資産へと逃げる。 結果、供給された資金は安全資産のドイツや米国、日本国債に向かってしまったのです。

 

このとき、何か起こるかというと、ユーロ売りのドル買い・円買い。つまり、欧州の銀行からドルと円に向かってユーロ資金が脱出してしまう結果につながったのです。ユーロ建ての資産のままでは、ユーロの下落で損失になってしまうことを恐れた金融機関は、ドルと円にその資金を変えてしまった。これがさらなるユーロ下落を招く結果につながったのです。

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冷静に考えれば、100兆円もの資金供給があれば、ユーロの価値の希薄化から、最終的にはユーロが安くなるシナリオに帰結するということでもありますが、この循環を考えると、スペイン、イタリアと危機が拡大し、国債が下落したとしても、LTRO第3弾でこれらを食い止めるのも不可能だということになります。

 

ドラギ総裁がLTRO第3弾になかなか踏み切らないでいるのも、効果が限定的だからなのでしょう。連鎖し始めた欧州債務危機、どのような解決策かおるか見えないなか、ユーロが大きく戻る可能性は限りなく低い、と見ておいたほうがいいだろうと思っています。

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